オーストリア鉄道ÖBBの運賃値上げ

7月から、オーストリア鉄道ÖBB (Österreichsche Bundesbahnen) は運賃を値上げするそうな。4.9%の値上げで、ウィーンからザルツブルクまでが現行の44.20ユーロから47.70ユーロに値上がりするそうな(Die Presse, Der Standatd)。VorteilsCardの発行手数料は据え置きだそう。

また、ウィーンを含むVerkehrsverbund(運輸連合:運輸連合に加盟している全ての公共交通期間(地下鉄・路面電車・バス・鉄道)は同じ1つの切符で乗れる)であるVORの1回券も1.70ユーロから1.80ユーロに値上がりするそうだ。ウィーン市交通公社(Wiener Linien)のウィーン市内24時間券などは運賃が据え置かれるとのこと。7月1日より前に発行される年間定期Jahreskarteなどは据え置かれるらしいけど、月間券なども値上げされるのかもね。詳しくは不明だけど。

ちなみにÖBB、昨年度の決算は約10億ユーロ(約1300億円)の損失らしい。乗客数は増えて人員はちょっと減少したものの、投資規模が大きいせいで、3億7600万ユーロ(約400億円)の減価償却がかさんでいるそうな(Dir Presse)。利息の支払いも馬鹿にならないらしい。

こうやってみると、民営化後には消費税分を除くと運賃値上げをしていないJRは優秀だな、とは一瞬思ったけど、その前の国鉄時代に結構運賃値上げを繰り返してるし、長距離運賃はJRの方が高いから、単純に比較はできないネ。(たとえばウィーン?ザルツブルクは約300kmで、InterCity(日本の特急列車に相当)に乗って普通運賃を払って値上げ後で47.70ユーロ、つまり約6,200円だけど、ほぼ同じ距離をJRの特急に乗った場合、7,760円(東京?原ノ町間292kmを常磐線経由で計算)になる。)それに、オーストリアでは、年会費(年齢に応じて約20ユーロ?約100ユーロ)を払えば半額になるし、年に2回程度以上乗る人はたいていこの会員カードを持っているので半分しか払わない(ちなみにWikipedia情報では150万人が持っているらしい。オーストリアの人口は880万人だから人口の17パーセントが持っていることになる)から、なおさら単純には比較できないネ。

Swine Flu / 豚インフルエンザ

メキシコ帰りのウィーン人女性が感染が確認されてフランツ=ヨーゼフ=病院に収容されているらしい(ソース Der Standatd オンライン版)。別のソース(Euronews)だと、グアテマラから、メキシコシティー、マイアミ、デュッセルドルフを経由してウィーンに帰ってきた人らしい。だんだん人ごとではなくなってきた気もする。

まあどうしようもないっちゃどうしようもないけど、外国との人の行き来は多い町なので、多少は気をつける必要くらいはありそうだ。念のためマスクくらいどこかから調達してくるか。とはいえ、そもそもマスクなんて普通のところじゃ売っちゃいないので、ちょっと考えどころではある。ちなみに、ウィーンの町それ自体は至って平静です。

昨日のCNN記事には「フィリピン政府は、公共の場所でハグやキスをしないように」という通達を出したらしい。ふむ、なるほど。また、同じニュースには、ある専門家の見解として、「抵抗力の弱い子供や老人ではなく、人口階層の中では最も抵抗力が強い若い人が感染して死に至るケースが多いことから、ウィルスそのものではなく、人間の体内での抵抗が何らか死に至る原因になるのではないか」という見方を紹介していたが、今日になったらこの見解は記事から削除されていた。

Have a seat kermit. What I’m about to tell you …..

I don’t remember where I found this picture on the Internet, though I put this here as it’s so funny.

結局アジア系の女性はもてる構造ということ- ヨーロピアンな恋愛 (III)

さて、前回までで言いたかったことを要約すれば、まずは欧米の恋愛一般について、

アジア(日本)と欧米では「In a relationship」あるいは「付き合う」ということと、「Boyfriend/Girlfriend」「彼氏・彼女」というのは同じじゃない、ということ。 欧米では”Dating”のような期間があって、これを経てかなり経ってからめでたく「彼氏・彼女」となる、ということ。 そして、「彼氏・彼女」というのは、ほとんど結婚しているも同然である、ということ。

この3つに集約できるだろう。

面白い例をいくつか紹介しよう。「いい子がいてもなかなかつかまらない」と約1年半ひたすら嘆き続けていた友人M(ドイツ人・男性)は、どうやらお気に入りの相手を見つけて割とすんなり上手くいったらしく、どこまでがデーティングでどこまでが彼氏・彼女なのかはよくわからないうちに、Mはマンションを買い、そこで2人で一緒に住み始めたそうな。(「彼女と住むっててなんて快適なんだろう!」とメールに書いてあった。くーーーー!)

別の友人A(オーストリア人・女性)は、数ヶ月の間に、「彼氏・彼女」なのか「デーティング」なんだかよくわからない相手と別れて、さらにちょっと別の男性とデーティングしたものの、すぐに上手くいかないとわかると退散、更に別の男性とデートをたまにしていたらしいがこれもウマが会わなかったのかやめてしまい、さっさと別に彼氏を見つけてハッピーにやっているらしい。この一連の出来事は約9ヶ月の間の話し。

また別の友人RとSは、お互い気に入ったものの、同じ学生寮に住んでいたので距離が凄く近く、すぐに誰もが公認の「彼氏・彼女」に。そして、Rが先に帰国した後はお互い相互の家を訪ねて遊びに行っていたようだ。さらに双方の両親とでシチリアだったかを旅行したそうな。今は遠距離恋愛中らしい。

また、彼氏と一緒に住んでいる友人Yは、Facebookの「Status」を「Married」に設定していたりもする。と、まあ、こんな具合である。

そういえば「家も見つかったし、次は彼女捜しだね」と言ってきたのは、オーストリア人のH。余計なお世話じゃい、とも思わなくはないが、とはいえ、 こちらではペアでいることが標準であって、一人ではなかなか物事がやりづらかったりする。典型はレストランに入る時だ。だから、けっこう彼だって本気に 言ったんだろう。

シンガポール人の友人は、かなりヨーロッパ風のメンタリティーを持った女性だけど、「日本人って、男も女も、型にはまっているよね。箱の中に閉じこもっているみたいだ。」と言っていた。彼女は「前は日本の男の子と付き合ってみたいと思っていたけど、この現実を知ってしまってから普通の興味がなくなった。やっぱりヨーロッパ人の方がいいな。」だそうな。逆に、スイス人の友人は、「ヨーロッパの女性の理想像に、日本女性ってぴったりだ。穏やかで、繊細で、女性らしくて。」だそうな。(確かにこれはよく言われることだ。欧米系の女性は自己主張も強いし、強靱だ。)

ここに書いた「○○人」というのは、あくまでも類型化であって、個人差はいっぱいあるはずだ。むろん、日本人の男性と付き合っている欧米系女性だって結構いるのを知っている。だけど、どうも全体的傾向からすると、何度か触れたように、アジア系の女性はずいぶんともてる。女性だと、アジア系ってだけでもてたりする。だけど、丹念に見ていくと、その大きな理由の一つは、最初に書いたような「付き合う」ことの状態のギャップ、男性側の押せ押せと、女性側の微妙な勘違いという、この2つが相乗効果を発揮しているところにもあるんじゃないだろうか。なんだか学校の復習みたいだが、まとめると、

(欧米系の)男性がデーティングと思っている段階でも、(アジア系の)女性は彼氏・彼女の関係だと思ってしまう。 しかも(アジア系の)女性は、男性に合わせていくよう努力していく傾向がある。そういうモノを恋愛だと思っている節もある。 女性が彼氏・彼女の関係であると思ってしまえば、あとはすべてとんとん拍子。

という、まあこんなことだろう。それにしてもなんだか悔しい気もする。

なんだがぐだぐだいろいろ書いてしまった。こういう話しにキリがないので、この辺でやめておこうと思う。ちなみに、上述のスイス人が、これを翻訳してくれというので、近々英語要約版でも書くとするか。

「付き合う」というのは「結婚」にずいぶん近いらしい – ヨーロピアンな恋愛 (II)

前回も書いたように、欧米系の恋愛というのは、「デーティング -> -> ->->-> -> 彼氏・彼女 -> 結婚」というような感じである。前回とは別のサイトから引用すれば、

コーヒー、ランチ、ディナーなど「一緒にどう?」と誘われて何度かデートする。 ↓ 平行して、キスやそれ以上の仲が深まる ↓ I LOVE YOU. と言われたり言ったりし、それ以降「恋人」になる。

ということになる。もっとも、ここにあるような「告白」みたいなものはあったりなかったりするらしく、周囲が公認してしまえば「彼氏・彼女」というケースも多いようだ。「恋人」であるのも、かなり結婚に近いようなものであり、日本の「付き合う」とはずいぶん雰囲気が違う。機会さえあれば一緒に住んでしまう、そして親戚づきあいはかなり深い程度までしている、というケースが多い。どちらかの両親と旅行、なんてのはざら。同棲しているところに、おじ・おばが子供とともに泊まりに来る、とかも見たことがる。何をするにも二人いっしょ。どこへ行くにも二人一緒。日本で言ったら結婚している状態とほぼ同じである。また、長いことになると18年間も「彼氏・彼女」でいて、最近やっと結婚した教授(二人ともオーストリア人だ)を知っている。その教授は今でも時々「彼女」と「妻」を間違えて言うからおもしろい。「彼氏・彼女」であることと「結婚」していることがほぼ同じとみなされている面白い例だろう。

(蛇足だが、こんな具合だから、日本でいう「単身赴任」はなかなか信じられないことのようだ。試しに手元のジーニアス和英辞典を引いてみたらbachelor businessという単語が充ててあるが、bachelorは(学士という意味もあるが)「未婚の」だったりもする。同様に、1年も会えない遠距離恋愛、のようなものもなかなか理解しがたいらしい。1年も会えないのにひたすら愛する人の帰りを待っていることが美徳、みたいな考えはほとんどないようだ。)

逆に、「デーティング」(つまり「彼氏・彼女」の前)の段階というのは結構長いようで、お気軽に言ってしまえば「お試し期間」なのだろうが、一緒に出かけたり泊まったりいろいろしていくなかで、上手くいかなければフェードアウトなり断ち切るなりをするわけだが、結構みな気軽にやっている。どうも根底にあるらしいのは「自分を曲げてまで相手に会わせて付き合う必要はない」という考えのようで、考えが合わなかったり、生活パターンが違いすぎたり、あるいはおそらく体の相性が合わないとかもあるのだろうが、それでさっさとデーティングやめてしまうこともままあるようだ。

さて、ここまで読んでピンと来た方もいるかもしれない。そう、前にも書いた「付き合う」と「In a relationship」は、あるいは「彼氏・彼女」と「Bouyfriend, Girlfriend」は一対一対応していないということである。この差に気づいていないせいで、面白いことが起る。(白状するなら、私も最近まで気づいていなかったせいで、以下のように思ったことがある。)

上に書いたように、デーティングというような段階で割と簡単にくっついたり離れたりしているのをみて、「なんでヨーロッパの人はあんなに簡単に付き合って別れるのかねえ?もっと彼氏を(彼女を)大事にしたらいいのにねえ。」といったことを言う日本人が割とよくいる。(蛇足だが、日本以外からのアジア系からは、割とヨーロピアナイズされてしまっているためか、あまりこういう台詞を聞かない。)まあ、日本人ならそう思いたくなるのもごもっともであろうし、日本語では「付き合う」という単語を使わざるを得ないからこうなる。しかし、待てよ、ここは冷静になろう。

そう、彼ら(ヨーロッパの人)からみたら、それは「お試し期間」であって、「上手くいかなければ一緒にならなければいいやあ」くらいに思っているのである。日本で「恋人と別れた」というと結構重苦しいことだけど、デーティングというような段階で別れたって、そういう重苦しさはないようだ。「もっと他にいい人を探そう」くらいにみんな思っているらしい。その代わり、コミットメント(I love you って言うとかね)のある関係だと、別れるのはそれなりに重苦しいようだ。

こんな具合だから、上に書いた典型的な日本人の感想は、こちらの人からしたら余計なお世話みたいなものだ。

と同時に、この「付き合う」「In a relationship」とか「彼氏・彼女」「Boyfriend, Girlfriend」の違いが端的に表れていて、そして話者はそれに気づいていない、典型的な例だろう。

長くなってしまった。まだまだ面白い話しはあるのだが、次回、ということで。

日本人女性がもてる理由がわかった(かもしれない) – ヨーロピアンな恋愛(I)

一年以上もウィーンに住んでいてどうしても解せなかったのは、「日本人女性はもてるのに男性はなかなかもてない」という点。最近、何となくその疑問が解けてきたような気がする。結論からいうと、日本語でいう「付き合う」ということと、欧米系の言語でいう「In a relationship」は、あるいは「彼氏・彼女」と「Boyfriend, Girlfriend」は、同じように見えて、実はかなり異なるからではないかということだ。

ひょんなことからたどり着いた、バーモント日記というブログ記事に、欧米(アメリカ)とアジア(日本)の恋愛事情の違いが面白い形で図式化されている。この筆者は、アメリカの恋愛・結婚と日本の恋愛・結婚を、以下のように図式化している。私はアメリカの例として示されているものを同じような感覚をヨーロッパ人についても持っている。「アメリカ」を「欧米」にでも置き換えて、まずはこれを読んでほしい。

●アメリカ

結婚 彼氏彼女↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ デーティング(トライアル)

アメリカでは、デーティングで相手を見ながら、相手との距離感、一緒にいる感じなどを確認しながら、将来を考えていく。お互い自立した人間同士なので、 タイミングがあったり、一緒にちゃんといられるかどうかは、試してみないと分からない。そして、デーティング期間に、どうやら相手とはちゃんと2人でやっ ていけそうだと思ったら、彼氏彼女の関係にレベルアップし、そうなってしまえば、結婚までの距離は短い。

●日本

結婚 ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ 彼氏彼女 デーティング(トライアル)↑ 日本の場合は、彼氏彼女になってから、結婚までの距離が長いのだ。でもそれは、2人でやっていけるか、がポイントになっている気がする。2人で1人とし て、うまくやっていけるか、という関係作りを彼氏彼女の間に行うのであろう。だからそのプロセスの中には、相手に合わせたり、相手をよりよく理解するとい うのが含まれているように思う。日本とアメリカの文化の違いを考えさせられる違いである。

さて、これが欧米人男性と日本人女性の場合どうなるか。欧米人男性が日本人女性を誘う場面を想像してみれば難くない。それぞれが、それぞれのやり方で振る舞うとして、だ。

欧米人男性が女性をデートに誘うとしよう。そして、女性はその誘いに乗る。さて、「デーティング」。日本であれば、デートを何回かして「おつきあいしましょう」といういわゆる「告白」をして、それで「彼氏彼女」に発展することがほとんどだろう。それで、晴れて手をつないだりキスしたり・・・という関係になっていくことが多いはずだ。だけど、欧米系の場合は、そもそも「告白する」ということがなくて、「デーティング」がずいぶん長く続く。この「デーティング」というのは、「軽い意味での食事や映画などのデートはもちろんのこと、恋人関係(relationship)の予行練習みたいな」(別のブログから引用)ものだから、ちょうど日本でいう付き合ってかなりこなれてきた頃のようなものだ。

重要なのはここから。まあ、日本でだって「成り行きで付き合ってるみたいになった」ということもあるだろうから、相手は「Dating」だと思っていても長く続けば、日本人女性としては「付き合っている」という感覚になっていくであろう。つまり、男性がDatingと思っている段階で、女性の方が先回りして「In a relationship」と思っている可能性が高い。そうしたら、晴れて「彼氏・彼女」になるなんて何の難しいこともない。しかも、上にもあるように彼氏・彼女であるということは「相手に合わせたり、相手をよりよく理解するとい うのが含まれている」ことが多いから(確かにそんな気がする)、男性が「お試し期間」と思っている間に、女性はその男性の方に合わせようとしたり理解しようとしたりしてくれるわけだ。男性にとっては願ってもないことであろう。

逆に、日本人男性と欧米人女性の場合は、簡単には上手くいかないのも納得いく。日本人男性がいきなり「彼女になってください」といったって、それはすごーく重たい、いわば結婚寸前のステップなわけで、Datingをほとんどすっ飛ばしてしまうようなモノだから、相手にはドン引きされる可能性が高くなるだろう。(日本人男性が一般にシャイで紳士的に振る舞えないとかいう話しもあるが、それはここでは触れないことにする。)

こういう図式なのではないだろうか?とふと考えたのである。

上で引用した、欧米と日本の恋愛の図式は、Yahoo!知恵袋でも、アメリカ在住らしき日本人女性のブログでも、読売新聞の「大手小町:発言小町:恋愛・結婚・離婚」のスレッドでも、カナダ学校生情報という謎のBBSでも同じようなことが投稿されているので、おそらく一般的な見解として間違いないであろう。やれやれ、男性には受難である。女性は「日本人」というだけでもてるんだから、羨ましいものだ。

さて、最初にも書いたように、日本語の「付き合う」は、英語の「In a relationship」とは対応していない。あるいは「Boyfriend, Girlfriend (ドイツ語ならFreund, Freundin)」と日本語の「彼氏・彼女」というのも、実は対応していない。ここに、日本人女性がことさらもてる秘密があるのではないかな、と思ったのである。

ちなみに、この「対応していない」ということ、もっといろいろ面白いことがあるのだが、長くなってしまったので、またの機会に改めて書くことにする。

カーシェアリング

日本ではなじみの薄い制度として、「カーシェアリング」というものがある。文字通り「車を」「シェアする」制度であり、仕組みはレンタカーと似ているが考え方がずいぶん違っている。

まずカーシェアリングに参加するには会員になる必要があり、年会費を払う。利用は、時間ごとの利用料と、距離に応じた利用料を払う、時間距離併用制である。利用したい時には事前に予約をするなどをする点は同じ。ただし、レンタカー屋のように係員がいるステーションは基本的になく、車は住宅地の駐車場の一角や、駅前などに止めてあり、そこでピックアップ大半である。本人認証は、ICチップを埋め込んだ会員カードで行う。

世界でも最大級の規模を誇るのはスイスのモビリティー社らしいが、オーストリアでは、自動車の販売やレンタカー事業を手がけるデンツェル社が、デンツェル・モビリティー社としてカーシェアリング事業を手がけているそうだ(モビリティー社と提携関係にあるそうな)。

ちょっと気になったので、年会費などを調べてみた。以下の数値は、全て上述のデンツェル・モビリティー社のケース。

まず年会費は、標準は60ユーロ、約8,000円。ただし、ウィーン市内交通の年間定期券所持者、OeAMTC(日本のJAFに相当)、学生などは、39ユーロ(約5,000円)に割り引かれる。さらに、オーストリア鉄道の会員カード(持っていると国鉄運賃が半額になる)所持者は29ユーロ(20ユーロ分のクーポン付き)、オーストリア鉄道年間パス(一年間オーストリア鉄道が乗り放題になる)所持者は無料(50ユーロ分のクーポン付き)である。

このように、たいして高くもない年会費であり、さらにはかなりの確率で割引を受けるチャンスがある。公共交通系の定期券などを持っていると割り引かれるところに、この制度のおもしろみがあって、持続可能な交通に向けたかなり強い施策が実施されていることの現れであろう。

次に時間・距離の利用料。エコノミークラスとなっている、三菱COLTなどの大きさの車の場合(7時から23時までの、個人使用の場合)1時間あたりの利用料は1.85ユーロである。さらに、1km走るごとに0.50ユーロが加算される。だから、たとえば2時間利用して、合計20km走ったとすれば、1.85 × 2 + 0.50×20 = 13.70ユーロ。一人だと、公共交通に比べて割高な感じがするが、3?4人で使う分には問題ないだろう。

レンタカーのように遠くに行くためではなくて、近所でちょこっとだけ車を使う、そんな用途のために設計された制度だから、ちょこっと使えば使った分だけ料金がかかる仕組みだ。また、週末には週末料金が設定されており、金曜の昼12時から月曜の朝8時まで借りると、75ユーロ(約1万円)に、1kmあたり0.21ユーロ。なお、ビジネス向けにも料金が設定されているが、平日を中心にビジネス需要が結構あるらしい。個人の需要は週末に多いようで、平日はビジネス用途の需要になっている分が休日は個人用途の需要になり、上手くバランスするようだ。

我が近所ではどこにステーションあるのかと調べてみたら、徒歩7分ほどの所にある大きなショッピングモールの地下駐車場の一角に止まっている車があるそうだ。ウィーン市内全体で47箇所にあるらしい。まだまだ数は多くないとはいえ、駅などに重点的に置いてあるから、それなりに使いやすそうだ。時々走っているのを見かけることもある。(一昨日の夜9時頃に見かけた例では、パパが子供2人を載せて運転していた。)

日本でもオリックスなどが始めたらしいが、まだなじみのない制度だろう。こちらでも定着した制度だという感じはあまりない。しかし、面白いので、今後も注視しておこうと思う。

ウィーンからの距離を考えてみる – 距離感って難しいかも?

最近はブログを書きたいモードらしい。書きたいからには、書く(単純)。

さて、ちょくちょく話題にのぼるのは、地球スケールでの「距離」について。ちょっとそれについて書いてみたいと思う。ここでクイズ。東京からウィーンまでは概算で何キロあると思いますか? 1) 6,000km, 2)9,000km, 3)12,000km, 4)20,000km 5)100,000km ….ここで5)を選んだ人は復習しましょう。地球1週って何キロだっけ?そう、約4万キロですよね。地球と月の距離が38万キロ。東京からウィーンがその1/4もあるわけはない。4)の20,000kmも、日本から地球半周したら、アルゼンチン沖の大西洋上に出てしまうので、これもない。というわけで、1)?3)のどれかなのですが・・・・?

正解は、2)の約9,000km。ちょうど地球1/4周より少し短いくらいということになります。(正確には9,155km。)

ちなみに1)の東京から6000kmに近い都市は、インドネシアの首都のジャカルタ(5,773km)、インドのデリー(5,851km)オーストラリアのケアンズ(5,856km)、米国ハワイのホノルル(6,210km)などがあります。ちょっと手前だと、シンガポールが5,311km、ちょっと遠くになると、オーストラリアのブリスベンが7,131km、カナダのバンクーバーが7,569kmになります。(変わり種では、カナダ・ユーコン準州のホワイトホースで6,373km、ノルウェー領の極北の群島スバーバル諸島の島スピッツベルゲン島にあるロングイヤービエンで6,848km。)

2)の東京から9,000km前後はというと、アメリカ方面では、ロサンゼルスが8,830km、デンバー9,350km。ヨーロッパの都市はだいたいこの前後に収まっていて、比較的日本から近いフィンランドの首都ヘルシンキだと7,841km、スウェーデンのストックホルムで8,193km。ドイツのフランクフルトで9,357km、ロンドンは9,585km、パリは9,738km。中東もこの距離圏内で、トルコのイスタンブールが8,970km、エジプトのカイロが9,587km。他の方面では、ニュージーランドのオークランドが8,810km、タヒチ島が9,511km。

アメリカの中西部?東海岸だと、3)の12,000kmにだんだん近くなってきて、シカゴ10,610km。ニューヨークで10,871km。ヨーロッパでこの距離帯になるのはマドリードで10.790km。アフリカなら、ケニアのナイロビが11,264km。

東京からの距離感覚は、だいたいこんな感じになる。ちなみに、飛行機の巡航速度は800?900kmだから、離着陸などでの所要も考えて、最低の時間1時間に+850kmあたり1時間程度と思えばいい。東京からウィーンまでは9000kmだということは、離着陸の1時間+巡航中の約10.5時間(9000/850)=11.5時間であるが、時刻表上の所要時間もこの程度である。

さて、問題はウィーンから。まずは世界規模編。ウィーンからアメリカ東海岸は、ちょうど日本から東南アジアに行くような感覚だ。参考まで、ウィーンからボストンまでは6509km。だいたいジャカルタとかシンガポールまでいくような距離感覚と大差ない。このような感覚の距離帯には、ほかにはケニアのナイロビで(5,829km)、インドのデリー(5,572km)などがある。

では、東京と同じ距離帯の9,000km前後にある都市はというと、香港が8,749km、南アフリカのケープタウンが9,097km、南米コロンビアのボゴタで9,664km、シンガポールで9706km、ロサンゼルスで9842kmである。東京からニューヨークの距離帯になると、少し離れたブエノスアイレスで11,805km。だいたいこんなもんである。オーストラリアなんかを別にすれば、ウィーンを起点にすると世界中の主要なところまでは直行の飛行機で行ける距離帯であることがわかるだろう。

さらに、ウィーンからヨーロッパ域内の都市までというのは、実に日本国内の感覚に近い。まずは隣国スロバキアの首都ブラティスラバ。これはたった56kmしか離れていない。東京からなら八王子のちょっと先くらいまでの感覚だ。実際、ウィーンからブラティスラバ空港を使って飛行機に乗ったりすることもある。ハンガリーのブダペストで233km、国内のザルツブルクで250km、チェコのプラハで252kmだから、これらは浜松とか郡山くらいの感覚。ポーランドのクラカフで330km、ドイツのミュンヘンが356km、同じくドイツのドレスデンが357kmだから、これらは名古屋や仙台の感覚。

436kmのところにあるのがベネチア。東京からなら、岐阜くらいの距離感だ。ベルリンの525kmや、スイスのチューリヒの594kmというと、盛岡とか大阪・神戸の感覚だろう。コペンハーゲンが874km、ブリュッセルの917km、アムステルダムの938km、パリの1,037kmなんてあたりで、札幌とか福岡くらいの感覚だろう。ロンドンで1,237kmだから、鹿児島くらい。1,674kmのところにあるのはモスクワで、だいたい沖縄くらいの距離。

稚内から鹿児島までの直線距離は2000kmといったところだけど、ウィーンから2000kmあれば、キプロスのLarnaca(2054km)やフィンランド北部のロヴァニエミ(2107km)、ポルトガルのポルト(2,119km)にたどり着ける。日本列島はざっと3000kmくらいあるというが、ウィーンから3000kmといえば、イラクのバグダッドが2,866kmだ。

上に示したのはあくまでも地球表面上の(大圏コースの)直線距離であって、実際の移動経路の距離ではない。とはいえ、航空路であれば概ねまっすぐであるし、陸路だってそんなに遠回りをすることは希だから、移動する距離に割と近い。

はて、こういうことがアタマにはいっていないとどうなるか。私のところのある教授(オーストリア人)は、「シンガポール在住の友人にアジアだし遠くないだろうと思って、『今度日本に仕事で行くから寄るよ』と言ったんだけど、言ったまではよくて調べてみたら飛行機で6時間もかかるなんんて思わなかったよ。これじゃアメリカに行くみたいだった。」と漏らしていた。あるいは、ちょくちょく国内各地を歩いている友人に「ずいぶんと遠くを旅行していたようだね」と言われたけど、なんてことはない、実は大陸ヨーロッパ内なんて日本国内程度の距離だから、距離にしてしまえばその有人の旅行と大差ない。

案外、日本からヨーロッパと北アメリカが似たような距離にあるせいか、この2つが意外にも近いことは忘れられている。なんてことはない、日本から東南アジアくらいの距離なのだ。また、アフリカというと未知の大陸のようなイメージがあるが、実はヨーロッパからは近くて、一番近いエジプトやチュニジアなんかには、海なし国オーストリアからぞろぞろとビーチでゆっくりするために休暇に出かけていったりするのだ(エジプトのビーチに休暇に行った人を結構知っている)。ちょうど、日本からグアムやサイパンに行く感覚だ。あるいは、バリ島に行くような感じで、カリブ海の島に泳ぎに行ったりする人もいるようだ。南米だって、日本から見たら地球の裏側だけど、ヨーロッパからなら、ちょうど日本からヨーロッパとかアメリカに行くような感覚で行けるのだ。それに比べたら、オーストラリアやニュージーランドは遙か彼方、地球の裏側の大自然が眠る大陸・島である。

ちなみに、距離の計算には以下のサイトを使用した。http://www.convertunits.com/distance/ と http://www.timeanddate.com/worldclock/distances.html?n=259 の2つ。

Samsom Budweiser Bier

「Budweiser」といったら、アメリカのバドワイザーを思い浮かべるのが普通かもしれないが、本家本元のチェコの街チェスキー・ブデヨヴィツェ市の「Budvar」はビール大国チェコを代表するビールである(ブドヴァイサー・ブドヴァー社)。チェスキー・ブデヨヴィツェは、ドイツ語地名ではブドヴァイスといい、それをアルファベットで表記するとBudweis。そこのビールだからBudweiser(ブドヴァイサー)。これを英語よみしてバドワイザーというわけだが、アメリカの、あのバド・ガールのバドワイザーは、全く別物である。個人的には、濃厚な味のチェコのブドヴァイサー・ブドヴァーが大好きである。

同じチェコの街に、Budějovický Měšťanský Pivovar、直訳するなら「ブドヴァイス市民醸造所」というものがあり、ここも負けじと美味しいビールを生産している。SAMSONという緑のラベルのビールがその代表で、ブドヴァーより更にホップの苦みの効いた濃厚な味がするビールである。世界各地に輸出されているわけでもなさそうで、どこでも手に入るという類のものではないのかもしれないが、近所のBilla(スーパー)では1本(500ml)54セントで売っているし、ピルスナータイプでありながらどっしりとした味がするので、割と好んで買ったりしている。

ビールというとどうしてもドイツのイメージが強いけれど、キリンビールのデータによれば、チェコは一人あたりのビール年間消費量が世界一のビール大国(約150リットル)。オーストリアも負けじと5位(約100リットル)であり、ビール大国である(ちなみに、2位アイルランド、3位ドイツ、4位オーストラリア)。この2つの国には、大手の超巨大ブリュワリーこそないけれど、美味しいビールを造っている地元のブリュワリーがたくさんあるのだ。オーストリアの大きめのところだけとってみても、ウィーンにはOttakringer、ニーダーエスターライヒにはZwettl、シュタイアマルクにはGösserやMurauer、ケルンテンにはHirter、オーバーエスターライヒにはZipferやEggenburg、ザルツブルクにはStieglといった具合に、たくさんのブリュワリーがある。

これまで、いろいろ飲んできたつもりでも、実はあんまり知らないブリュワリーが多いんじゃないかと、最近になって思うようになってきた。なんだか知ったつもりになっているだけで、実はオーストリアのビールについてなんて、ろくすっぽ知らないんないかという気がするのだ。Zwicklが何者かを知ったのだって最近だ。

そういうわけなので、これからもビール開拓を続けようと、決意を新たにしたのであります。前々から、新たなビールを飲んだら、写真に収める、という目標を全く果たせていないので、この点は反省かな。

Lingua Anglica, Englisch, Ti?ng Anh, 英?, 英語

自分からこんなことを書くのも、特に日本的には厚かましいとは思うんだけれど、日本人の非ネイティブとしては英語はまあよくできる方なんじゃないかと思う。別に読んだり書いたりするのが早いわけではないし、文法間違ったりはよくやってるけど、だからといってコミュニケーションで困ったりすることは、まあまずない。周りはドイツ語圏だけれども、日常英語で喋ることはやっぱりおおいし、一番使っているのは実は英語なんじゃないかと思う。なんだかんだヨーロッパや世界各地からの留学生との間ではおおむね共通語になっているし、公的な場面でも英語訳はたいてい用意してあったりする(公共系だと他には、チェコ語やスロバキア語、イタリア語、スペイン語、ロシア語、セルビア語、トルコ語などが多い)。

その一方で、ドイツ語圏に居る割りには、ドイツ語はずいぶんずたずたである。日常生活のコミュニケーションには困らないのだが、複雑なことを表現したりするにはほど遠い。またボキャブラリーも貧弱だ(いや、英語だって日本語だってボキャ貧ですよ)。まあ確かに駅で切符買ったりパン屋でパンを買ったり保険局で健康保険に加入手続きをしたり、大学で同僚Kollegeとちょっとしたジョーク飛ばしたりはできるけれど、だからって自分の研究計画をドイツ語で書けといわれたら、辞書首っ引きでそれなりの体をなした文章は書けるけれども、ネイティブ・チェックをしてもらうと、真っ赤になって帰ってくるのが常だ。

さて、この2言語を使い分けていて、面白いことを発見した。英語ができることをほめられることはまずないのだが、ドイツ語が「ある程度」できることをほめられることは割とあるのだ。「You speak English very well.」なんて言われることはきわめて希だけれど、「Du sprichst sehr gut Deutsch.」と言われることはままある。

一つには、ここがドイツ語圏であるというのが理由だろう。さらに、英語が世界中で広く使われているのに対して、ドイツ語はドイツとオーストリア、スイスの一部でしか使われていないのだから、ドイツ語を母語とする人がドイツ語をしゃべれる外国人を見てより容易に嬉しくなる、という可能性だってあろう。

しかし、どうやらこれ以外にもう一つ面白い現象があるのではないか、と最近思うようになってきた。というのは「人はある言語がモノになっている人に対して、その言語が操れることをほめることはほとんどない」というものではないだろうか(自分で言うのも恐縮だが、自分が英語がモノになっていないと言ったら怒られるだろうから、モノになっていることにするが。)。しかし、「人はある言語を習得途上にある人に対しては、その言語がしゃべれることをほめる」というのもあるのではないだろうか。この2つをひっくり返せば、「外国語が上手なことをネイティブにほめられたら、それはまだまだ伸ばす余地が大きい」ということなのではなかろうか、ということである。逆に「外国語が上手だとネイティブにほめられたら、そのネイティブは実はまだ下手だと思っている」と言うこともできるかもしれない。

正直なところ、オーストリア訛りの英語はなかなか理解しにくい。ドイツ語を母語とする人の英語はドイツ語から翻訳したような癖が少しあるし、オーストリア訛りのドイツ語風に英語を発音をされると何を言ってるのか解らないことがある。こういうのが続くと、自分の英語が実は全然ダメなんじゃなかろうかと不安に思うことも多々あるのだが、一方でアメリカやイギリス出身で英語を母語とする人の機関銃のような話しでも速記しろと言われたらできそうな気がするので、やっぱりこれは杞憂であろうかと思ったりもする。そんなことを考えている中で出てきたのが、上の仮説だ。

別に検証したわけでもなんでもないので単なる直感なのだが、こういう法則があるとしたら、自分の言葉の上達レベルの参考になったりするんじゃかろうか。そして、(不覚にも)「日本語がお上手ですね」なんて言ったりしたら、それは相手の日本語があんまり上手いと思っていない証拠なんじゃないか、と思ったりするのである。まあ、あくまで仮説だから、本当にそうなのかどうかは検証してみないとわからないけれども。