オーストリアでも日本の選挙への関心は高い。

日本の首相が訪欧してもまったく報道しなかったドイツ語圏のメディアでさえも、今回の日本の選挙に関してはずいぶん関心が高いようだ。とりあえずオーストリアとドイツの新聞に出ている記事の見出しをいくつか翻訳して紹介しておこう。みんな、なかなか面白い見出しを付けている。なお、以下は、Google Newsで上の方にある記事の見出しを翻訳しただけだ。

「記録的な失業率は麻生の最後の望みを打ち砕いた(Rekordarbeitslosigkeit zerstört Asos letzte Hoffnungen)」(DerStandard)(オーストリア) 「日本の敏捷な革命家 (Ein wendiger Revolutionär für Japan)」(DerStandard)(オーストリア) 「日本は歴史的な左派からの衝撃に直面 (Japan steht vor historischem Linksruck)」 (RP Online) (ドイツ) 「東京のケネディーは新しい首相になるか?(Wird Tokios Kennedy der neue Ministerpräsident?)」 (Bild) (ドイツ) 「政治的世襲宮廷帝国の終わる時 (Endzeit im Reich der politischen Erbhöfe)」 (DerStandard) (オーストリア) 「激震への望み (Hoffen auf ein Erdbeben)」(DieWelt) (ドイツ) 「人物像: 鳩山: 無色・カリスマなし (Porträt Hatoyama: Farblos, ohne Charisma)」 (Kölner Stadt-Anzeiger) […]

「ロンドン パリ 高速列車」

タイトルに書いたような「ロンドン パリ 高速列車」という検索キーワードでこのウェブサイトにたどり着く方が結構いらっしゃるようだ。せっかくなので、まとめておこう。

結論からいうと、その列車は「ユーロスター」(”Eurostar“)という名前で、リンク先のオフィシャルウェブサイトにあるような、フランス・アルストム社製の車両で運行されている。ロンドンのセント・パンクラス(St. Pancras)駅から、パリの北駅(Gare du Nord)までを2時間20分ほどで結んでいる。また、このほかに、ロンドンからベルギーのブリュッセルまでの列車もある(所要2時間)。ブリュッセル側の駅は南(Midi)駅。

日本の旅行会社でも切符を売ってくれるが、やたら高い手数料を取られる。オフィシャルウェブサイトで割引運賃で購入する方が賢明だろう。日本市場向けの英語ウェブサイトがある。

なお、パリからブリュッセル、さらにその先のオランダ・アムステルダムやドイツ・ケルンへは、Thalys(タリス)という高速列車が走っている。パリからブリュッセルまでは1時間半ほど。こちらも、ウェブサイトで割引運賃を買う方が、日本の旅行会社に手配を頼むより断然お得。なおThalysの乗車券はSNCF(フランス国鉄)のウェブサイトでも購入できる。SNCFのウェブサイトでは、TGVなど他のフランス国内の列車の乗車券もオンラインで購入できる。むろん、オンラインの割引などが受けられるからお得。いずれの場合も、受取りは駅の自動券売機にクレジットカードを差し込んで行う方式で、「えきねっと」や「エクスプレス予約」と同じ。

いずれの都市間も距離がとても近いことに注目されたい。ロンドン-パリなら、さしずめ東京?大阪といったところ、パリ-ブリュッセルなら、東京?仙台程度だ。

ユーロスター。パリ北駅にて。

こちらはタリス。ワインレッドの色が印象的。パリ北駅にて。

ウィーンからとばせなくてもまだ航空券を売るスカイヨーロッパ

経営危機に陥っているスカイヨーロッパは、ウィーン空港への施設使用料の支払いが遅れ、「最終期限」の15日になっても支払いを完了できず、ウィーン空港から地上業務の停止を食らっている。乗客は、スカイヨーロッパが用意したバスでブラティスラバ空港まで向かい、そこから飛行機に乗るという、トンデモナイ事態になっている。挙げ句の果てに、本来ウィーン発となるフライトのブラティスラバへの変更時刻も、8月18日の夜10時半になっても19日の分がインターネットに掲載されないなど、もう、めちゃくちゃだ。

さらにめちゃくちゃなことに、ウィーンからブラティスラバに変更されたフライトも、ほとんど定時運航していない(ブラティスラバ空港のウェブサイト参照)。たとえば、本来はウィーンに22時に到着するはずの、バルセロナ発のNE3123便は、この混乱のためにブラティスラバ到着が23:20となっている。さらに、機材繰りができなくなっているせいであろう、遅れに遅れて、ブラティスラバ着の今日(18日)の実際の時間は02:40である。午前2時半にブラティスラバの空港に降ろされて、どうしろというのだろう?本来の出発時間から1時間半遅れ、それがさらに3時間20分遅れていることになる。

ブラティスラバ空港の本日の到着案内。スカイヨーロッパ(NEで始まる)は大半が遅れている。

さらに驚いたのは、今日になって「9月1日から来年2月までのウィーン発のフライトは全て40%オフ」セールだそうだ。ウィーンから飛ばせずにブラティスラバに緊急避難して、しかも大幅に遅れを出している会社で、しかも存続そのものも疑問視されているような会社の航空券を、誰が買うのだろう?もはや宝くじ気分で買うしかなさそうだ。

誰が買うんだろう?

いやはや、末期症状に近いようだ。

スカイヨーロッパの経営危機について続報

2週間ほど前にまとめて書いた、ブラティスラバやウィーンを拠点とする格安航空会社であるスカイヨーロッパについて、その後情勢がずいぶん変わったのでまとめておく。なおリンク先は基本的にドイツ語か英語のソースだ。

8月11日に、ウィーン空港を管理するFlughagen Wien AGから、「8月14日午後3時までに滞納している施設使用料を納付しない場合は、スカイヨーロッパのフライトへの取り扱い業務を停止する」という警告文が発せられた。

8月14日、結局スカイヨーロッパは、期限までに滞納分を納付することができなかった(ソース)。「永遠の資金難」という見出しの記事まで出る始末。ちなみに、滞納は2,000万ユーロとも3,000万ユーロとも見積もられている(ソース、ソース)

8月15日のフライトから、ウィーン発着のすべてブラティスラバ空港(約50km離れている)に離着陸させるという緊急避難的措置を実施している(詳細)(ソース)。とりあえず17日までの変更時刻がウェブサイトに掲載されているが、この文章を書いている17日午後5時前の段階になっても、18日の変更時刻が表示されないなどの混乱ぶり。

なお、この措置で、7000人が影響を受け、1?2時間の余分な時間がかかったそうだ。乗客は、ウィーン空港でチェックインをして、荷物を持ってブラティスラバ空港に行き、そこで荷物を預けて搭乗、という手順らしい。(ソース)

8月17日時点では、ORFの報道によると、ウィーン空港の管理会社にはスカイヨーロッパから支払いの申し出は出ていないとのこと。先行きはきわめて不透明な情勢だ(ソース)。巷では、「会社が運航停止に陥るのは時間の問題」「(本社が所在する)スロバキアの政府から支援を受けられるのでは」などいろいろな憶測が飛び交ってはいるが・・・

また、筆者と研究室の同僚で試してみたところ、この先の冬までのフライトはまだ予約可能な状態になっている(いったい誰が予約するんだろう?)。予約システム上の情報は、ブラティスラバから飛ぶことになっている明日18日のフライトも「ウィーンから」出発することになっていて、更新されていない。

なお、これは喜ぶべきチャンス、とばかりに、オーストリア航空と、FlyNikiが、「スカイヨーロッパで帰って来れなくなった人のために」150ユーロで帰りのフライトをオファーしているようだ。なお、同様のオファーをWizzAirも30ユーロで行っている。

なお、本日(17日)付けのDer Standardには、スカイヨーロッパの失敗の原因を分析する記事が出ている。ドイツ語が読める方は読んでみるといい。

Ausfall = 運休。ウィーン空港のウェブサイトから。

ブラティスラバへ変更しての発着は、とりあえず「19日まで」ということになっているようだ。DerStandardの記事にルポ風のものが出ていた。

Mach was du willst! – ÖBB Sommerticket!

オーストリア国鉄(ÖBB)から、Sommerticket (Summer Ticket) という、かなりあっぱれなオファーが出ている。7月4日から9月14日までの10週間の間、オーストリア国内の国鉄路線全てに乗り放題、というチケット。

購入できる要件は、26歳の誕生日を迎えていないことと、VORTEILSCard <26という、1年有効で国鉄全線が半額になるメンバーシップ・カードを持っていること。

料金は、20歳未満は25ユーロ、20歳以上26歳未満は59ユーロだ。今年から値上げされたが、期間が延長されたしÖBBの運賃そのものも値上げされているのでやむを得ない程度だろう。20歳未満には、ウィーン周辺(市内を除く)のバスが乗り放題になる35ユーロの特別バージョンもある。

驚くのはこれだけではない。オーストリア西部のチロル州では、夏休みの間、18歳未満のチロルの住民は、全ての地域公共交通機関を無料で使うことができる(ソース)。飛び地である東チロルと州都のインスブルックを直通するイタリア国内経由の列車にも適用される。

どちらも、若年層に公共交通機関をプロモートする政策の一環だ。おそらく、免許を取得して車で移動することになれてしまう前に、公共交通の利便性を実感してもらうことで、車利用を抑制し、将来の公共交通の利用者を育成しようというものであろう。「今」という時点では営業上の収入を減らすことにはなるが、今後数十年の時間スケールでは公共交通機関の利用者増につながり、かつ自動車の社会的不効用を抑制できる、という考えに立っているに違いない。とすれば、きわめて筋の通ったプロモーションであろう。

nissan.exe, vrag.exeといったウイルスへの対処(備忘録)

kawasaki.exe, nissan.exe, vrag.exeといった類のウイルスがヨーロッパで蔓延しているようだ。いろいろな名前の亜種があるらしい。ウイルス検索ソフトでは検出されない。

症状は、

USBディスクなどのリムーバブル・ドライブに感染し、 autorun.infを作成してディスクを差し込んだ時に活動するように記述し、 “CRNI” “BORO”といった保護付きディレクトリの中にexeファイル, desktop.iniを作成してしまう。 Windowsがある起動ドライブに感染する場合は、c:の下にあるRECYCLERの下にランダムなディレクトリを作成し、そこにexe、desktop.iniを作成する。 PC起動時にウェブサイトに勝手に接続する、など症状がある。 プロセスとして、kawasaki.exe, nissan.exe, vrag.exeなどとして走る。

といったもののようだ。現時点では、8月4日にボスニア・ヘルツェゴヴィナ、5日にオランダで確認されたのが最初のようだ。

対処法は、とりあえずautorun.infを削除する。Windowsからは、保護付きディレクトリを削除する術が見つからないので、ドライブをUnix系OSのPCに接続してマウントし、root権限で当該ディレクトリを削除する、という手順になった。

Cドライブに感染してしまった場合は、RECYCLERの下に作ったファイルになにかを依存するように設計されているらしく、Windowsからはやはり削除できないので、KnoppixなどでCDからPCを起動して当該ファイルを削除するしかなさそうだ。

感染の拡大は、どうやら感染したリムーバブル・ドライブ(USBドライブなど)を通じて起るようだが、インターネット経由でも感染しうるようだ。

以上、備忘録。こいつのせいで仕事が進まなかった。

追記:Cドライブに感染した場合の対処。nissan.exeが感染していたので、nissan.exeとして記述しているが、他の名前で感染している場合は適宜読み替えてほしい。

基本的には、レジストリの値を削除した上で、C:\Recyclerを削除する。

まず、レジストリのうち、HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows NT\CurrentVersion\Winlogon にある「TASKMAN」を削除。ここにnissan.exeを起動する命令が書かれている。

ここで再起動しないのがポイント。Windowsを再起動すると、このレジストリの値が「復活」してしまう。

当該ウイルスのRecycler内のファイルはWindowsから削除できないので、(CDブートの)Knoppixを使って削除。CD-ROMからKnoppixを起動して、Cに該当するハードディスクをマウントし(Knoppix6なら最初からマウントしてくれている)、RECYCLERを削除。

これで完了。

超低床路面電車の火災: ウィーンのULF

先週の日曜日に、ウィーンを走る超低床路面電車(ULF: Ultra Low Floor)で火災があったらしい。市内南部の下町と郊外を結ぶ67系統で日曜日午後に発生したそうな乗客が炎に気づいて、運転手が停止させてドアを開けて全員が避難(ORF.at)。原因はまだ不明だが、タバコの可能性などが指摘されている(wienweb.at)。2人の専門家が調査中とのこと。現在196編成あるそうだが、発注中の104編成については納入を一時的に見合わせているそうだ(vienna.at)。