東京?ワルシャワ間の航空路線が開設される見通し

国土交通省の報道発表資料によると、日本とポーランドの間で、10月に、

航空便の便数枠の週10便への増枠 乗り入れ地点の制限撤廃(コードシェアも含む) 成田空港への週3便の乗り入れ枠の設定

が合意されたとのこと。

これにより、ポーランドのフラッグキャリアであるLOTポーランド航空が、ワルシャワから東京/成田までの路線を開設する見通しが立った。だが、ポーランド側の報道だと、一つはボーイング社からの機材(B787)の納入の遅れと、もう一つにはロシア政府当局との上空通過に関する協議に時間を要することから、運行開始までに更に最低でも2年を要するとのことだ。

ワルシャワはヨーロッパ東北部に位置して、東京との間は10時間ないし11時間程度で飛行可能な距離だ。従って、ワルシャワで乗り継いでヨーロッパ各方面へ向かう場合も、(接続がよければ)比較的短時間で到達できるメリットが生まれるだろう。

また、コードシェアに関する制限の撤廃により、現在はワルシャワにしか設定されていないJAL, ANAのコードシェア便が、クラカウなど他の都市にも設定できるようになるとのこと。こちらは比較的短い間に変化があるだろう。

なお、LOTポーランド航空は、ポーランド政府(State Treasury) が67.97% を保有する会社で、スターアライアンスに加盟している。

ところで、余談だが、ワルシャワの空港は「フレデリック・ショパン空港」だ。なかなかのネーミングだ。

JALに外資が入る話し

JALにデルタ航空や、参加にアメリカン航空を持つAMRが出資する道を探っている、という話しが9月頃にあったが、どこに行ったんだろう?と思わないだろうか。「企業年金削減」のニュースばかりで忘れさせられているかもしれないが(忘れている人は、マスコミにある種の情報操作をされているネ)、まさか巨大企業が易々と手を引くとも考えにくい。

6日付けのウォール・ストリート・ジャーナル紙(オンライン版)の記事によると、デルタ航空の会長であるEdward Bastian氏は、この6週間のうち5週間も、東京に滞在したとのこと。一方のアメリカン航空も、政府やJAL経営陣に対して”Oneworld Total Value Proposition”と題した、OneWorldに残留してアメリカン航空との提携関係を継続することで、日米間オープンスカイ協定が発効した場合に、収益が大きく向上することなどを示したらしい。ビジネスウィーク紙の記事によると、経営陣が相次いで訪日しているらしい。

一方の5日付けのビジネスウィーク氏オンライン版の記事ではスカイチーム各社の経営陣が、韓国の仁川で行われた役員会の後、「おいでおいでー」とでも言うかのように、JALがスカイチームに加わるメリットを強調している様子がリポートされている。(役員会の様子の写真がThe Korea Timesというページにある。

ところで、タスクフォースや年金減額のあれこれの話しは、単なる迷走のようにも見えるが、見方を変えれば「時間稼ぎ」をしているようにも見える。こういった議論を続けていて、かつ融資の話がまとまりきらなければ、JALに残された道はきわめて限られたものになる。残された時間がぎりぎりになるように議論を続けて、結局、会社更生法か民事再生法を適用、という道をたどる可能性があるだろう。「JALが飛ばなくなることはないようにする」と繰り返し言っている大臣がいるが、破産・会社解散という道を選択しない限り、飛行機を飛ばし続けながら会社更生手続きや民事再生手続きをすることは不可能ではない。実際に、川中島バスや北海道国際航空(Air Do)のように、営業を続けながらも会社更生手続き、民事再生手続きを行った交通企業の例は過去にあるのだ。

とすると、上に書いたデルタやAMCがJALに対して今でも食指を動かし続けているということは、会社更生法か民事再生法を適用した後の再建段階で大きく関与し、スカイチームなりワンワールドなり、自らのアライアンスに引き入れることを念頭に置いているのではいだろうか、という推測をすることができる。

さて、どうなるだろう?

「さつま」という食べ物

こちらのスーパーでは「Satsuma」という食べ物が売られている。橙色をしていて、丸くて、掌サイズで、皮をむけば中身を食べられる柑橘類。そう、「みかん」このと。

オレンジでもなんでもなくて、日本でよく食べられる温州みかん(英語で「マンダリン」)。ウィーンで売られているものの産地はスペインやクロアチアなどが多く、1kgのネット入りで1.5ユーロ(200円)前後といったところだ。こちらで売られているオレンジやクレメンティヌスなどに比べて、味に甘みがあり、皮がむきやすいことなどもあって、好評のようだ。日本で栽培されてる品種が売られており、先日買ったものは「Okitsu」という品種と書かれていた。(今日買ってきたネットには名前がない。)

「さつま」という名前の由来は、日本マンダリンセンターなるところのウェブサイトによると、

出水郡東町が発祥の地とされる温州みかんは、外国ではSatsuma(サツマ)と呼ばれています。 初めて温州みかんが外国に渡ったのは、1876年(明治9年)ジョージ・ホール氏がフロリダへ苗木を送っています。

温州みかんがSatsumaと呼ばれるようになったのは、1878年当時米国の日本大使だったバン・バルケンベルグ氏夫人が鹿児島の方に頼んで温州みかんの苗木を故郷に送ったことに由来します。

現在、フロリダ州とアラパマ州にSatsumaという町があります。 ヨーロッパでも温州みかんのことをサツママンダリンと呼んでいます。

だそうで、明治初期の逸話に依るらしい。

ウィーンのスーパーでは、「Spanische Satsuma」(スペインのさつま)などと書いてあり、なんかちょっとへんてこな感じの名前に聞こえるが、味は日本のものと比べて遜色ない。時には、スペインの太陽をたっぷり浴びているからどうか、甘みが強くてかえっておいしいくらいだ。

ウィーンの大学が燃えている – 続編(1)

前回の記事に書いたウィーンの大学での学生のサボタージュ・ストライキと、講義室の占拠は、2週間が経過した今日でも続いている。

この運動はドイツにも飛び火し、ミュンスター大学とハイデルベルク大学で学生による講義室占拠が起っている、とウィーンの日刊高級紙Der Standardが報じている。さらに、組織しているunsereuni.atによると、このほかにポツダム大学、ダルムシュタット工科大学、テュービンゲン大学、マールブルク大学、ミュンヘンの芸術大学でも講義室占拠が起っているようだ(Unsereunis.deも参照)。また、ベルリンでも同様の動きが起っているようだ(ORF)。キーワードは「連帯」。(ちょうど、ポーランドの民主化革命の時を連想させる言葉だ。)そして、今日(5日)夕方には、またウィーン中心部で1万人規模の学生デモが行われた、という具合だ(Der Standard)。

今回の動きは、元はといえば「学生(特に学部生)が増えているのに大学の資金が増えない」というあたりに問題があるようだ。オーストリアの大学は、大学進学者用の高校であるギムナジウムを修了し、マトゥラと呼ばれる大学入学資格を得れば、医学やスポーツ科学、音楽などの一部を除いて、基本的に誰でも在籍登録できる。学費は無料で、予算は国が拠出するものと、企業などからの研究資金でまかなわれる。研究の方は研究資金で回っているものの、国が拠出する方の運営資金が足りていない。学生一人あたりの教員数は極端に多い(ただし、学部レベルの講義では、日本の大学も同程度となる部分も多い)。そんな事情だから、大学間会議のチーフは1兆ユーロ資金不足を訴えることで学生側を擁護する格好の発言をし(Der Standard)、デモなどに参加する教員も出ている(Der Standard)。さらに労働組合連合なども運動を後押しする、という構図になっている。根本をたどれば、2002年の民族党と自由党の右派・極右連立政権時代の「大学改革」、ということになるらしい。

この学生の動き、オーストリアでは、Hahn教育相が事態の収拾に直接あたり、Feymann首相も首を突っ込むという形になってきた。学生側と教育相の直接の話し合いが、近々持たれる予定だ。しかし、教育相がどこまで本気なのかは未知数だ。教育相はEU委員になるために辞任する予定であり、やる気なんかなさそうだ。それに後任がこんな状況で決まるわけがないし、後任選びは「ババ抜き」だろう。この先、大学の予算が増やされたり、学部生に対する入学試験の実施などが導入される方向での検討が首相などが主導して始まるようであるが、こちらもまた未知数。もはやこの先の行方は不透明だ。

それにしても、デモや講義室占拠といった古典的なやり方と、FacebookやTwitter、それにライブ・ストリーミングによる占拠講義室の中継など、現代的なメディアを駆使して、見事に政治的主張を展開している。さらに、インターネットではDer Standard紙が時々刻々と情報をアップデートしている。各紙などでは、むろんトップニュース。

いったい、これに比べると、日本の大学生のパワーはどこに行っちゃったんだろう?みんなおとなしく横一列に「就職活動」を卒業の1年半前からしている姿と比べると、エネルギッシュさが根本的に違うような気がするのは、私だけだろうか?

連日のサボタージュ・ストライキに関して、学生や教育相の動きを伝えたり、論評を掲載したりしている、Der Standard紙の紙面。