どう考えても不可解である。なんでこんな矛盾したこと平気で書けるのかなと思うようなマスコミ報道が多い。以下で朝日新聞の記事の見出しをを取り上げるが、単に首相の記者会見の記録が参照しやすかったからである。読売でも毎日でも中身は同じようなモノ。よくよく読んでいくと、「徳之島移設案はマスコミ業界が捏造したものです」と言っているに等しいように思うのだが。
見出しだけ並べると「徳之島の移設反対集会、首相『ひとつの民意と理解』」(4月19日)「徳之島案決定へ、20日閣僚会議 民主県連は撤回要求」 (4月19日)という具合で、あたかも徳之島案が政府案のように書いてある。NHKも記事の中で「・・政府内でヘリコプター部隊の一部を移すことが検討されている鹿児島県徳之島で大規模な反対集会が開かれた・・・・」と書いてあるし、あたかも徳之島が政府案であるような書き方をしているのは、どこのマスコミを見ても同じだ。
だが「『徳之島への移設指示』は『勝手な憶測』5日の鳩山首相」(4月5日)という記事にあるように、鳩山首相は徳之島案指示というのは憶測に基づいたものであり、「腹案」ではないことをぶら下がり会見で示唆している。ちなみに、敢えて書いておくが、産経新聞でも同日のぶら下がり記録記事にも、同じ発言が記されている。
もう、こうなってくると、「徳之島案はマスコミ業界によるでっち上げです」って暗に言っているに等しいような気もするんだけどな。記者会見で何社かの記者が「徳之島では・・・」といって、大臣なんかが徳之島に言及するのを繰り返し報道していれば、「徳之島が政府案」のような印象を流布させることはできそうだものな。
だけど、反対集会に象徴されるように、徳之島案なんかが出てくることで、移設反対の「地元の意志」が明確になる、という強烈な効果があるだろう。前にも一度書いたことがあるけど、あえてあーでもないこーでもないと「のらりくらり」やることで、「眠っていた民意」を起こすことに、今の政権は成功しているのではないだろうか。半年前にこんなに大規模な集会があるとは考えにくかったが、徳之島に続いて、今度は沖縄でも県内移設反対集会があって、知事までが参加するというのだから(時事通信)。(政権が人々をあおるのは民主的でないような気もするが、そもそも眠っている意見を起こさないと民主的なプロセスが何も始まらない状況では、そういうことがある程度必要だろう。)
ちなみに、首相の言う「腹案」というのは、サイパンとテニアンとグアムへ集約的移転を要請することではないのだろうか。Saipan Tribuneという現地の新聞では、テニアン市長は「30年にわたって米軍移転による経済的ベネフィットを待ち続けていた」と書いてある。読売新聞などは「普天間『八方ふさがり』」のように書いているが、国内移設先だけ見ているから「八方ふさがり」なんであって、サイパン・テニアン・グアムへの移設することにしてしまえば、すんなり解決しそうだ。そのことをYahoo! ニュースのページ(「キャンプ・シュワブ沿岸部以外の移設候補」の欄)が端的に表にまとめて表している。「のらりくらり」の狙い通りかどうかは別として、確かに国内移設案は「八方ふさがり」になっている。とすると、「自然と」国外のサイパン・テニアン・グアムあたりへの移転しかなくなってくるわけで、それ「腹案」なんじゃないかと思うのは、そのあたりに理由がある。
軍事基地なんてないに越したことはない(そもそも不要であることに越したことはない)だろうが、とはいえおいそれと簡単にはなくせない面もあるだろう。とはいえ、沖縄の負担を減らす、という意味で、サイパンやテニアンやグアムに移転していってもらうことが、悪いことだとは思わない。(むろん、サイパンやテニアンやグアムの負担が増えることの懸念はしないといけないが。)
さて、話しがそれそうなので、タイトルに話しを戻すと、どうも上のような事柄が多々あるので、テレビや新聞は見ない方がハッピーになれるのではないだろうか、と思うのだが、どうなのだろう?というか、同時に、テレビや新聞を真に受けずに自分の頭で物事を考えていくしかなさそうなだ。
4月20日追記: 以上はあくまで東京の大手メディアに対する話しだ。地方紙を中心に、きちんと報道をしている新聞は多いと思う。大手メディアが上記のようなプロパガンダ機能のようなものを発動た結果、新聞全体の信頼が落ちて購読者が減ってしまうようでは、地方の新聞社にとっては酷だと思う。