話題持ちきり(?)のウィキリークスに関する日本のニュースソースを眺めていても、 ウィキリークス資金源失う? 寄付集め口座打ち切り報道 とか、ウィキリークスに強まる包囲網・・・でも米捜査は足踏み とか(これはどちらも朝日新聞オンライン版のタイトル)、あるいはアサンジ氏の口座調査=居住地不正記載か?スイス郵政公社 (時事通信) の類がほとんどで、どの大手のメディアも海老蔵を追っかけるのと同じ調子でばかり報道している。
私に解せないのは、「検察のリーク情報」みたいな言い方をマスコミが使うくせに、今回は「リーク」という単語を使わず「暴露」という単語を使っている点である。そういえば、それぞれの記事もどことなく「ウィキリークスは怪しいモノだ」という印象を植え付けるような感じがする。
オーストリアのメディアはというと、むろん上記の海老蔵追っかけ的内容も報道してはいるが、暴露された内容を分析する方に力点を置いている。”US-Diplomaten sind wegen Österreichs Politikern “frustriert”“(米外交官がオーストリアの政治家にいらついた)とか、自国に関連する内容を紹介している。あるいは、画面をキャプチャして載せていたりもする(Der Standard の例)。
さて、ウィキリークスが公表している、下記の「発信元一覧」を引用しておく。赤、橙、緑はそれぞれが「Secret」「Confidential」「Unclassified」の分類と思われる。
ウィキリークスの外交文書の発信元一覧。ソースは http://wikileaks.ch/static/gfx/graphic.png
まあ、ふーん、と見過ごしてしまうのかもしれないが、発信元をよく見て欲しい。”Secretary of State” は国務省。次に多いのが、トルコのアンカラにある大使館、ついでイラクのバグダッドにある大使館で、これらはイラク関連が多いのだろう。その次(全体で4番目、大使館で3番目)が、東京にある大使館である。7千件弱の文書がリークされることになっている。なお、25万件強ある文書のうち、842件だけが現時点で公開されているだけで、東京発の文書はまだ含まれていないようだが、今後全部リークされるとすると、25万件のうち7千件、約2.8%が東京発の文書ということになる。「ふつうの」西側諸国の大使館の文書が2000件?4000件の間にあるから、7000件は突出して多いと言っていいだろう。
日本のメディアは、公開された文書を詳細に紹介したりするだろうか? 先に書いた、メディアの書き方がどうも「ウィキリークスは怪しいぜ」という、海老蔵やら、あるいはのりぴー追っかけよろしくのスタンスであることを考えると、期待はできなそうである。
日本政府が国民に知られたくない情報が、上述の7000件の中に含まれている可能性もあるだろう。可能性が高い、と言ってもいいかもしれない。しかも、普天間基地移設問題に関する裏のやりとりなどがウィキリークスを通じて公になったら、日本政府にとっては、たまったものではないことになるかもしれない。とすると、日本の大手メディアは、日本国民に、リークした内容を内容を必至に知らせないようにするのではないだろうか?
(しかも、大手メディアが必至に情報を知らせないようにうごいたら、インターネットにアクセスがあり(かなり普及しているでしょう)、かつ英語が読める人なら、ウィキリークス本体にアクセスできるわけで、大手メディアの存在意義が薄れて、逆にウィキリークスのようなサイトの存在意義がより増してしまうということにもなるのではないだろうか。)
金子勝が「ウィキリークス、私もいいことではないなあと思いつつも、前原外相の「犯罪云々」発言から「米国兵士を危険に陥れる」といったピントボケな批判が出てくると、さすがにもっと真面目に考えたらと思います。」と自身のツイッターに書いていた。私も、別にこういう形で機密情報をリークさせることを推奨したいとは思わないけれども、手に入ってかつ誰の目にでも見られるようになっている以上、もっとまともな形で向き合わないと、ロクなことにならないと思うのですが。
ウィキリークスのトップページ。見たことあります?
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