ウィーンは華麗なるハプスブルクの都であったところでもあるが、同時にデモの街でもある。19世紀の華やかな建築が並ぶリンク通り沿いは、春から秋にかけて、しばしばデモ行進の場所となる。多い時には1日に3つくらいあることも。そして、路面電車が迂回するので、デモがあるとすぐにわかる。
ウィーン大学を発端に、大規模な学生のサボタージュ(ストライキ)が始まってから今日で9日目になった。ウィーン大学のAudimaxなどを学生が占拠している状況が今も続いている(写真)。サボタージュはオーストリア全土に拡がっていて、ドイツに飛び火するのも時間の問題ではないかとすら見られているようだ(ドイツの側の学生団体のページ)。水曜日には、1万人(警察発表の数字らしい:ソース)とも5万人(学生側発表の数字らしい:ソース)とも言われる学生が、リンク通りや、官庁が並ぶウィーン中心部のミノリーテン広場をデモ行進。スローガンは「Uni Brennt!」つまり「大学は燃える!」だ。
この動き、Studentenproteste 2.0とまで名付けられることに象徴されるように、TwitterやFacebookといったインターネット上のツールを使って瞬く間に広まった。活動そのものも http://unsereuni.at/ というウェブサイトで情報がやりとりされ、さらにFlickerで写真が随時アップロードされ、動画のストリーミングまでされているというもの。Facebookでは2万人を超える学生がこの運動の「ファン」として登録している。
学生の要求はというと、基本的には「教育環境の改善を」というもので、「銀行と大企業ではなく教育にカネを回せ!」といったもの。学生一人あたりの教員が少ないことや、講義室が学生であふれてしまうことなどが背景にあるようだ。また、近年ではドイツなど隣国からも大勢の学生がやってくるようになった。ウィーンの日刊高級紙DerStandard(30日付け)によると、オーストリア国内の学生数(「大学」の学生であり、高等専門学校は含まれていないので、日本の学生数と単純に比較しないように)は昨年の24万人から今年は一気に30万人に増えてしまう見積もりがあるらしい。
大学の方もこれらの動きを容認しているどころか、学生を焚きつけているような節もあって、工科大学のホームページではニュースとリンクがご丁寧に用意されている(そのページ)。近頃は大学も資金が苦しくなっているので、ウィーン大学の学長などは学生の動きにかなり理解をしめしているようだ。
政府の方も手をこまねいていて、ファイマン首相(SPOe)が自ら事態の収拾に当るようなことになってきた。教育大臣Hahn (VOeP)はというと、EU委員への登用により辞めることが決まっていて、本気で解決するのか怪しいもよう。とりあえず今これを書いている時点で、事態収拾の方向はまったく見えていないようだ。
DerStandardにも写真がたくさん掲載されている。興味ある方はご覧あれ。
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