Intersport eyblは、ウィーンを中心に展開するかなり大きなスポーツ用品店である。さすが山国オーストリアだけあって、トレッキング用品などもしっかり揃っているかと思えば、みんな夏になれば泳ぎに行きたいらしく、今の季節は水着のバリエーションもまた多い。
スポーツ用品店の稼ぎ頭のひとつに自転車がある。オーストリアでは自転車はどんなに安くても200ユーロ(約26,000円)程度はするのだが、日常の移動手段としても、休暇を楽しむための手段としても人気だ。ウィーン市内をはじめ、オーストリア各地には自転車道が整備されている。
さて、そのIntersport eyblは、Klima:aktivという環境キャンペーンと連携して、特製の自転車を売り出した。その宣伝に登場したのは、なんとNikolaus Berlakovich農林・環境・水マネジメント大臣だ。この大臣とeyblの関係は正直なところよくわからないところだし、何らか関係があるのかもしれないが、いずれにしても日本では考えない取り合わせが実現した、というところだろう。
一般論としてオーストリアの環境に対する意識は日本のそれよりはおしなべて「高い」といえるだろう。しかし、それは単に環境保護という点の「環境」だけではないように思うのだ。休暇のレクリエーションとして、自然を楽しむ、ということを、多くの人が知っているように感じるのだ。「日本庭園のように日本にも自然を愛でる伝統があるではないか」と反論されそうだが、そういった都市の中に(ある種人為的に)持ち込まれた自然ではなく、山や湖といったありのままの自然に積極的に(Aktivに)関わっていって、そこに自分を投じて愉しむ、という積極性において、それを実践している人の割合はずいぶんと多いような気がする。ごく普通の女の子だって「自転車に乗りに」わざわざ電車に乗って遠くまで出かけたりするのがオーストリアだ。
こんな具合だから、スポーツショップの宣伝に環境大臣が登場するのもうなずける。自転車にお金をかける人が多いから、インパクトも大きいのだ。自転車の関連は、実は大きな産業として成り立っている、ということなのだろう。使い捨てられた9,800円の「ママチャリ」が駅前に放置されている世界とは大違いである。
(なお、ホームページの画像をキャプチャしたのは5月3日だ。念のため。)
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