東京?ワルシャワ間の航空路線が開設される見通し

国土交通省の報道発表資料によると、日本とポーランドの間で、10月に、

  • 航空便の便数枠の週10便への増枠
  • 乗り入れ地点の制限撤廃(コードシェアも含む)
  • 成田空港への週3便の乗り入れ枠の設定

が合意されたとのこと。

これにより、ポーランドのフラッグキャリアであるLOTポーランド航空が、ワルシャワから東京/成田までの路線を開設する見通しが立った。だが、ポーランド側の報道だと、一つはボーイング社からの機材(B787)の納入の遅れと、もう一つにはロシア政府当局との上空通過に関する協議に時間を要することから、運行開始までに更に最低でも2年を要するとのことだ。

ワルシャワはヨーロッパ東北部に位置して、東京との間は10時間ないし11時間程度で飛行可能な距離だ。従って、ワルシャワで乗り継いでヨーロッパ各方面へ向かう場合も、(接続がよければ)比較的短時間で到達できるメリットが生まれるだろう。

また、コードシェアに関する制限の撤廃により、現在はワルシャワにしか設定されていないJAL, ANAのコードシェア便が、クラカウなど他の都市にも設定できるようになるとのこと。こちらは比較的短い間に変化があるだろう。

なお、LOTポーランド航空は、ポーランド政府(State Treasury) が67.97% を保有する会社で、スターアライアンスに加盟している。

ところで、余談だが、ワルシャワの空港は「フレデリック・ショパン空港」だ。なかなかのネーミングだ。

JALに外資が入る話し

JALにデルタ航空や、参加にアメリカン航空を持つAMRが出資する道を探っている、という話しが9月頃にあったが、どこに行ったんだろう?と思わないだろうか。「企業年金削減」のニュースばかりで忘れさせられているかもしれないが(忘れている人は、マスコミにある種の情報操作をされているネ)、まさか巨大企業が易々と手を引くとも考えにくい。

6日付けのウォール・ストリート・ジャーナル紙(オンライン版)の記事によると、デルタ航空の会長であるEdward Bastian氏は、この6週間のうち5週間も、東京に滞在したとのこと。一方のアメリカン航空も、政府やJAL経営陣に対して”Oneworld Total Value Proposition”と題した、OneWorldに残留してアメリカン航空との提携関係を継続することで、日米間オープンスカイ協定が発効した場合に、収益が大きく向上することなどを示したらしい。ビジネスウィーク紙の記事によると、経営陣が相次いで訪日しているらしい。

一方の5日付けのビジネスウィーク氏オンライン版の記事ではスカイチーム各社の経営陣が、韓国の仁川で行われた役員会の後、「おいでおいでー」とでも言うかのように、JALがスカイチームに加わるメリットを強調している様子がリポートされている。(役員会の様子の写真がThe Korea Timesというページにある。

ところで、タスクフォースや年金減額のあれこれの話しは、単なる迷走のようにも見えるが、見方を変えれば「時間稼ぎ」をしているようにも見える。こういった議論を続けていて、かつ融資の話がまとまりきらなければ、JALに残された道はきわめて限られたものになる。残された時間がぎりぎりになるように議論を続けて、結局、会社更生法か民事再生法を適用、という道をたどる可能性があるだろう。「JALが飛ばなくなることはないようにする」と繰り返し言っている大臣がいるが、破産・会社解散という道を選択しない限り、飛行機を飛ばし続けながら会社更生手続きや民事再生手続きをすることは不可能ではない。実際に、川中島バスや北海道国際航空(Air Do)のように、営業を続けながらも会社更生手続き、民事再生手続きを行った交通企業の例は過去にあるのだ。

とすると、上に書いたデルタやAMCがJALに対して今でも食指を動かし続けているということは、会社更生法か民事再生法を適用した後の再建段階で大きく関与し、スカイチームなりワンワールドなり、自らのアライアンスに引き入れることを念頭に置いているのではいだろうか、という推測をすることができる。

さて、どうなるだろう?

「さつま」という食べ物

こちらのスーパーでは「Satsuma」という食べ物が売られている。橙色をしていて、丸くて、掌サイズで、皮をむけば中身を食べられる柑橘類。そう、「みかん」このと。

オレンジでもなんでもなくて、日本でよく食べられる温州みかん(英語で「マンダリン」)。ウィーンで売られているものの産地はスペインやクロアチアなどが多く、1kgのネット入りで1.5ユーロ(200円)前後といったところだ。こちらで売られているオレンジやクレメンティヌスなどに比べて、味に甘みがあり、皮がむきやすいことなどもあって、好評のようだ。日本で栽培されてる品種が売られており、先日買ったものは「Okitsu」という品種と書かれていた。(今日買ってきたネットには名前がない。)

「さつま」という名前の由来は、日本マンダリンセンターなるところのウェブサイトによると、

出水郡東町が発祥の地とされる温州みかんは、外国ではSatsuma(サツマ)と呼ばれています。 初めて温州みかんが外国に渡ったのは、1876年(明治9年)ジョージ・ホール氏がフロリダへ苗木を送っています。

温州みかんがSatsumaと呼ばれるようになったのは、1878年当時米国の日本大使だったバン・バルケンベルグ氏夫人が鹿児島の方に頼んで温州みかんの苗木を故郷に送ったことに由来します。

現在、フロリダ州とアラパマ州にSatsumaという町があります。 ヨーロッパでも温州みかんのことをサツママンダリンと呼んでいます。

だそうで、明治初期の逸話に依るらしい。

ウィーンのスーパーでは、「Spanische Satsuma」(スペインのさつま)などと書いてあり、なんかちょっとへんてこな感じの名前に聞こえるが、味は日本のものと比べて遜色ない。時には、スペインの太陽をたっぷり浴びているからどうか、甘みが強くてかえっておいしいくらいだ。

ウィーンの大学が燃えている – 続編(1)

前回の記事に書いたウィーンの大学での学生のサボタージュ・ストライキと、講義室の占拠は、2週間が経過した今日でも続いている。

この運動はドイツにも飛び火し、ミュンスター大学とハイデルベルク大学で学生による講義室占拠が起っている、とウィーンの日刊高級紙Der Standardが報じている。さらに、組織しているunsereuni.atによると、このほかにポツダム大学、ダルムシュタット工科大学、テュービンゲン大学、マールブルク大学、ミュンヘンの芸術大学でも講義室占拠が起っているようだ(Unsereunis.deも参照)。また、ベルリンでも同様の動きが起っているようだ(ORF)。キーワードは「連帯」。(ちょうど、ポーランドの民主化革命の時を連想させる言葉だ。)そして、今日(5日)夕方には、またウィーン中心部で1万人規模の学生デモが行われた、という具合だ(Der Standard)。

今回の動きは、元はといえば「学生(特に学部生)が増えているのに大学の資金が増えない」というあたりに問題があるようだ。オーストリアの大学は、大学進学者用の高校であるギムナジウムを修了し、マトゥラと呼ばれる大学入学資格を得れば、医学やスポーツ科学、音楽などの一部を除いて、基本的に誰でも在籍登録できる。学費は無料で、予算は国が拠出するものと、企業などからの研究資金でまかなわれる。研究の方は研究資金で回っているものの、国が拠出する方の運営資金が足りていない。学生一人あたりの教員数は極端に多い(ただし、学部レベルの講義では、日本の大学も同程度となる部分も多い)。そんな事情だから、大学間会議のチーフは1兆ユーロ資金不足を訴えることで学生側を擁護する格好の発言をし(Der Standard)、デモなどに参加する教員も出ている(Der Standard)。さらに労働組合連合なども運動を後押しする、という構図になっている。根本をたどれば、2002年の民族党と自由党の右派・極右連立政権時代の「大学改革」、ということになるらしい。

この学生の動き、オーストリアでは、Hahn教育相が事態の収拾に直接あたり、Feymann首相も首を突っ込むという形になってきた。学生側と教育相の直接の話し合いが、近々持たれる予定だ。しかし、教育相がどこまで本気なのかは未知数だ。教育相はEU委員になるために辞任する予定であり、やる気なんかなさそうだ。それに後任がこんな状況で決まるわけがないし、後任選びは「ババ抜き」だろう。この先、大学の予算が増やされたり、学部生に対する入学試験の実施などが導入される方向での検討が首相などが主導して始まるようであるが、こちらもまた未知数。もはやこの先の行方は不透明だ。

それにしても、デモや講義室占拠といった古典的なやり方と、FacebookやTwitter、それにライブ・ストリーミングによる占拠講義室の中継など、現代的なメディアを駆使して、見事に政治的主張を展開している。さらに、インターネットではDer Standard紙が時々刻々と情報をアップデートしている。各紙などでは、むろんトップニュース。

いったい、これに比べると、日本の大学生のパワーはどこに行っちゃったんだろう?みんなおとなしく横一列に「就職活動」を卒業の1年半前からしている姿と比べると、エネルギッシュさが根本的に違うような気がするのは、私だけだろうか?

連日のサボタージュ・ストライキと、教育相の動きを伝えるDer Standard紙の紙面。

連日のサボタージュ・ストライキに関して、学生や教育相の動きを伝えたり、論評を掲載したりしている、Der Standard紙の紙面。

ウィーンの大学が燃えている

ウィーンは華麗なるハプスブルクの都であったところでもあるが、同時にデモの街でもある。19世紀の華やかな建築が並ぶリンク通り沿いは、春から秋にかけて、しばしばデモ行進の場所となる。多い時には1日に3つくらいあることも。そして、路面電車が迂回するので、デモがあるとすぐにわかる。

ウィーン大学を発端に、大規模な学生のサボタージュ(ストライキ)が始まってから今日で9日目になった。ウィーン大学のAudimaxなどを学生が占拠している状況が今も続いている(写真)。サボタージュはオーストリア全土に拡がっていて、ドイツに飛び火するのも時間の問題ではないかとすら見られているようだ(ドイツの側の学生団体のページ)。水曜日には、1万人(警察発表の数字らしい:ソース)とも5万人(学生側発表の数字らしい:ソース)とも言われる学生が、リンク通りや、官庁が並ぶウィーン中心部のミノリーテン広場をデモ行進。スローガンは「Uni Brennt!」つまり「大学は燃える!」だ。

この動き、Studentenproteste 2.0とまで名付けられることに象徴されるように、TwitterFacebookといったインターネット上のツールを使って瞬く間に広まった。活動そのものも http://unsereuni.at/ というウェブサイトで情報がやりとりされ、さらにFlickerで写真が随時アップロードされ、動画のストリーミングまでされているというもの。Facebookでは2万人を超える学生がこの運動の「ファン」として登録している。

学生の要求はというと、基本的には「教育環境の改善を」というもので、「銀行と大企業ではなく教育にカネを回せ!」といったもの。学生一人あたりの教員が少ないことや、講義室が学生であふれてしまうことなどが背景にあるようだ。また、近年ではドイツなど隣国からも大勢の学生がやってくるようになった。ウィーンの日刊高級紙DerStandard(30日付け)によると、オーストリア国内の学生数(「大学」の学生であり、高等専門学校は含まれていないので、日本の学生数と単純に比較しないように)は昨年の24万人から今年は一気に30万人に増えてしまう見積もりがあるらしい。

大学の方もこれらの動きを容認しているどころか、学生を焚きつけているような節もあって、工科大学のホームページではニュースとリンクがご丁寧に用意されている(そのページ)。近頃は大学も資金が苦しくなっているので、ウィーン大学の学長などは学生の動きにかなり理解をしめしているようだ。

政府の方も手をこまねいていて、ファイマン首相(SPOe)が自ら事態の収拾に当るようなことになってきた。教育大臣Hahn (VOeP)はというと、EU委員への登用により辞めることが決まっていて、本気で解決するのか怪しいもよう。とりあえず今これを書いている時点で、事態収拾の方向はまったく見えていないようだ。

DerStandardにも写真がたくさん掲載されている。興味ある方はご覧あれ。

ウィーンお買い物事情 的メモ

ウィーンでお買い物、となるとなかなか難しい。とりあえずショッピング向きの街ではない、ということだけは確かだ。

基本的には、マリアヒルファー通りに行けばなんでも揃う。H&M, Springfield, Zara, Esprit, St. Oliver, Xanaka, Street Oneなどのチェーンの洋服店、Humanic, Salamander, Deichman, Stefflkönigなどの靴屋さん、本屋のThalia、家電のSaturnなど一通りある。あとはIKEAの場所を押さえておけばいいだろう(Kagraner Platazから24Aのバスで停留所4つのIKEA Wien Nordか、Shopping-City SüdにあるIKEA Vösendorf。後者はWLBかOperからのバスでアクセス。ウィーン市の外になってしまうので、公共交通の交通費を節約したいならWien Nord。)スーパーはどこにでもある。BillaやMerkurを頻繁に使うなら、VorteilsClubなどメンバーシップ特典割引を上手く使うといい。

さて、問題は、物価が全般に高いことだ(東京と比べたら安いよ、念のため。)。付加価値税(Mwst)が20%もかかっているのだが、もともと値段も高め。だから、ウィーン以外で買うにはどこが安いのだろう?という発想が湧いてくる。通販なり、出かけたついでに買う、というのができる。

とりあえず本などが安いのはアメリカ。とはいえ、Amazon.comで買って送ってもいいが、送料がかかるし(送料を入れるとオーストリアのアマゾンと同額程度になってしまうことが多い)、届くまでに時間がかかる。CDには関税もかかる。旅行ついでに持ってくる、以外ではあまり使えない。ただし、英語の書籍は簡単に手に入るし、CDやDVDもウィーンの半額以下で手に入るので、出かけるついでならかなりいい。ちなみにCDのうちクラシックやジャズの輸入盤は日本でも安い。

ちなみに、オーストリアからAmazon EUに注文するとオーストリアの付加価値税がかかる。ドイツ語版アマゾンはドイツの価格で表示されているので、表示価格より微妙に高くなる、という罠がある(書籍に対する付加価値税は、ドイツが9%、オーストリアが10%。CDはそれぞれ19%, 20%。)。送付先を選択した後の支払い段階で表示されるため、なんか悔しい気になることが多い。

衣類は、意外に思われるかもしれないが、東欧は余り安くない。もともと西欧系の商品は比較的高めの価格が設定されていて(それでも購入する購買層が大きいいうことだ)、ウィーンと同じ価格であることが多い。特に付加価値税が25%となっているスロバキアなどは、逆に高かったりして、メリットがない。ハンガリーなども高め。意外に安いのはイタリアやスペイン。国や地域ごとに価格を変えているチェーン店では、同じものが、税込み価格でウィーンより15%?20%安く売られている印象(H&MやZARAで比べた。Espritなどはユーロ建は均一価格なのでメリットなし。)。

シャンプーなど、ドラッグストアで売っている類のものはオーストリアは何故か割高。ドイツで同じ商品を同じ(チェーンの)お店で買うと20?25%安く買えることが多い。だが、元々使う量が限られているし、割と頻繁にセールがあるので、ドイツからわざわざ買ってきたりは余りしない。

そして意外に高いのがパスタといったイタリア系食材。イタリアで買うと半額程度で同じものが買える。これらは、出かけたついでに買ってくる、というのをたまにやる。ウィーンで1箱1.39ユーロのBarillaのスパゲッティーがイタリアで69セントで売っていた時にはちょっと頭に来た(半額かよ!)。ちなみに、Barillaはイタリアはで70~80セントで買えるらしいが、ウィーンではどの店でも定価は1.49ユーロ。スロベニアなど東欧になると1箱2.39ユーロもしていたりして、国毎によってかなり価格を変えて売っているようだ。

それ以外の食品は近隣のチェコやスロバキアが比較的安いので、出かけたらついでに食品も買って持ち帰ってくる。ブラティスラバからの帰りにはTESCOの袋を両手に、とかよくある。

ワインはご当地ものを買うから価格を比べても意味は余りないが、オーストリアはEUでは最安値の部類だろう。ウィーン周辺は質のいいワインをたくさん算出している(が、ウィーン市民がいっぱい飲むせいで輸出されることは少ない)。ビールも同様で、ご当地ものはご当地で飲むのが一番、ということで、わざわざ遠くから買ってきたりはしない。

以上、実は価格に敏感な、私の印象でした。

オーストリアで取得した運転免許はアメリカ合衆国でも有効

昨年のことになるが、日本の免許からの書き換えで、オーストリア共和国が発行するBクラス(普通自動車)運転免許を取得した。その時の顛末は、当時の記事に書いた通りだ。

この免許は、ヨーロッパ内はどこでも通用するから、国際免許が要らずに楽だ。しかも有効期限なし(更新の必要もなし)。気になったのは北米だ。そこで、調べてみた。

アメリカ合衆国では、1年以内の滞在であれば、オーストリアの免許はそのまま有効だそうだ。在ウィーンのアメリカ合衆国大使館のウェブサイトの情報だから信用していいだろう。

カナダも、6ヶ月以内の滞在であれば。オーストリア(並びにドイツ)の運転免許はそのまま有効なようだ。ドイツのレンタカー情報集約ページの情報だから、若干信憑性は謎だが、たぶんアメリカと似たような取り扱いだろうから、理解できる。

ということで、このオーストリアの運転免許はアメリカでもそのまま通用することがわかった。便利だ。国際免許はまたしても必要ない。

ちなみに、オーストリアではÖAMTC(JAFのオーストリア版)が国際免許証を発行してくれるが、有効期間は1年で、費用も22ユーロほどかかるので、日本の免許とこの点は余り変わらない。

JAL騒動と「公共サービス義務」

最近はJALのいろいろをニュースで追っかけている。同じロイターでも、日本語版英文版で書いてあることの「深み」の方向性が若干異なっていて面白い。

ところで、交通政策という点から見たときに、一番あおりを食らう一つは松本空港だろう。JALの子会社のJACが唯一の乗り入れ定期航空会社で、大阪線を毎日運航し、札幌線と福岡線を曜日ごと交互に運航している。JALはこの廃止を表明しているという。それに対して長野県が受け入れられないと言っているのだそうだ。まあ、そりゃそうだろう。自分のところから飛行機が飛ばなくなったら嬉しいわけがない。(ソース1, ソース2

さて、どうすればいいのだろうか?ソース1にある、

「日本航空との合意事項に基づいて、活性化に取り組んできた。何をもって赤字なのか明らかにする必要がある」  会見した県交通政策課の小林利弘課長は語気を強めた。

というところにヒントがあるだろう。

「こんなに早く、簡単に切り捨てられるとは思わなかった」。松本商工会議所の井上保会頭は怒りをあらわにし、15日にも地元経済界などで対策会議を開くとする。

松本青年会議所の上条洋理事長は「公共交通機関という側面を検討しているのか。採算だけで判断するのは納得できない」と不満をぶちまけた。

ともある。(引用元はともに上記のソース1(中日新聞記事))

長野県ないし松本市地域にとって何が目標なのかを考えることだろう。交通政策としては、JAL(JAC)の松本空港への運航を継続することが重要なのではなくて、大阪や福岡、札幌と短時間で結ばれていることが目標のはずだ。オペレータが別にJALである必要性はない。

だったら、立ち返って、まず松本空港と大阪・福岡・札幌が結ばれていることが、どの程度社会的・経済的に地域に有益なのかを再検討してみたらいいだろう。そして、有益だと判断されれば、松本空港と大阪・福岡・札幌をむすぶ航空便の運航を行う航空会社を、一日の便数や座席数、運航頻度、赤字となった場合の補填方法などを行政が定義して、一般競争入札などで公募したらどうだろう?そして、5年間や7年間の運航契約を結び、契約更新時期になったら有益性を再検討して、再度入札をする。

実はこれは、EUが規則として定めている「公共サービス義務」というもののアイディアを拝借しただけだ。交通サービスのうち、社会的、経済的には必要であるが、採算が取れない場合には、行政が、しかるべき補填のもとに「公共サービス義務」を課すことができるのだ。行政と事業者の間には契約関係ができ(むろん書面で公式のものだ)、行政は赤字補填の、事業者は運航の義務を負う。もともとは鉄道や舟運のためのものだったのがが、航空路線にも適用される規則があり(Article 16 of the Air Services Regulation 1008/2008)、ギリシャの島嶼部やスカンジナビアの田舎、ドイツやフランスの地方部など257路線で使われている制度だ(リスト)。

すでに長いこと運航しているJAC便が一挙になくなるのが「いや」なのが心情的には分からなくもないが、JAL自体は行政機関でもなんでもないので、不採算路線を「お情け」で運航してあげるほど余裕はないだろう。ましてや数千億円規模の資金が必要で、銀行に債務放棄を要請して、さらに数千億円の未認識年金債務がある会社ができるわけがない。法的整理の必要性さえ指摘されているのだ。

こういうタイミングでこそ、社会的・経済的に必要な路線であれば、必要なサービスに対してなんらか制度的手当てをして行く必要がある、ということを認識して、議論と制度を設計していく段階にきているのではないか、と思うのだが・・・・

ウィーンは雪

「今週後半には雪」と予想されていたけど、今日が初雪でございます。しんしんと、というよりは、結構激しく待っています(強風のせいだと思うけど)。積もってはいないけどね。

羽田空港をハブにすると宣言するだけじゃ物足りない

成田空港の不便さを外国人が実感していることは、外国の航空会社に乗るとよく分かる。一番いい例は、”We will be arriving at Narita Airport, located in the outside of Tokyo.”などという飛行機の中でのアナウンスだろう(むろん英語などを聞いていないと分からないわけだが)。羽田なら便利なのに、というのは良く聞 く話だ。だから、羽田をハブにするというアイディアはよくわかる。

とはいえ、羽田空港をより使い勝手の良いハブ空港にするには、某大臣の発言の後にちまたで言われているような、単に滑走路と発着枠を単純に増やして、国際線を増便するだけでは、ダメだろう。まだまだいろいろ考えられることがある。

一つは、オペレーションの効率化だ。誘導路から滑走路に進入する際に、直角ではなく斜めに入るよう誘導路を設計する。また、2本平行に誘導路を設置して、滑走路手前での待機を並んでできるようにするのも一案だろう(ヒースロー空港で採用されている方式だ)。効率的なオペレーションをするためのアイディアは他にもある。2本の滑走路を離着陸両方に使って、滑走路上に飛行機がいない時間を最低限にするものだ(フランクフルト空港で採用されている方式)。まあ、とはいえ、これは些細なアイディアだ。本題ではない。

本題は、私が前々からアイディアとして持っているもので、新幹線の羽田乗り入れと、「新幹線と飛行機のコードシェア」だ。地図を見てもらえば、おわかり頂けるかと思うが、東海道新幹線や、大井にある新幹線車両基地との間の連絡線から、羽田空港はさほど離れていない。上手いことトンネルを掘って首都高速湾岸線が通る位置に、「羽田空港長距離鉄道駅」を作ったらいい。新幹線の東京駅方面と新横浜駅とを接続。ついでに、JR東日本とJR東海の新幹線も東京駅で接続して、相互に乗り入れる。

そして、羽田空港からの大阪や花巻などへの本州内新幹線沿線への短距離フライトは全部廃止して、この区間の旅客輸送は新幹線に割り振る。さらに、新幹線には飛行機の便名をつける。別の言い方をすれば、新幹線座席を航空会社が一部買い取って、飛行機の代わりに運行する、と言ってもいいだろう。要するにコードシェア便と同じだ。そして、新大阪や仙台といった主要な新幹線駅には、航空会社のチェックインカウンターを設置して、そこでチェックインをできる仕組みにする。

こうすることで、東京と各都市間の移動や、羽田発着の国際線から国内線への接続は、短中距離区間は新幹線、長距離区間は飛行機と、距離に応じて役割分担をするように政策的に調整する。こうすることで、本州内の短距離フライトに使われている羽田のスロットを空けて、国際線用に割り振れるスロットを増やせばいい。増やしたスロットを使って、ヨーロッパやアメリカ、オセアニア方面のフライトも、羽田から飛ばしたらいいだろう。

発想は、単にドイツのフランクフルト空港でルフトハンザ・ドイツ航空とドイツ鉄道が30年ちかく前から行っているものを真似ただけだ(参考サイト。日本の航空会社では、ANAがドイツ鉄道の列車に自社の便名をつけている)。何なら、Air France – KLM と Veolia Transport が計画していると報じられているように、航空会社が新幹線線路の上に高速鉄道を走らせてもいいだろう。単にスロットを空けるだけではなくて、短距離航空輸送を鉄道に回すことで、経済性や環境面での優位性も出せる。

こういうインフラ施策+制度的施策を組み合わせたら、羽田はもっと使い勝手のいい「ハブ空港」になるだろう。10年?20年単位での話しになるだろうが、こういうことも頭に入れておいてよさそうだ。

成田空港は着陸料を引き下げて、格安系航空会社が乗り入れをしやすいように整備したらいい(格安系航空会社が今の日本で成功するとは、移民施策などを見る限り考えにくいが、これは機会を改めて書くことにする。)。あとは近距離路線と貨物の空港になること、などであろう。

地方空港も、施策の転換を考える頃合いだろう。たとえば、ボーイング737-800など中型機(定員150人ほど)で1日1往復ソウルと結ばれているのと、エムブラエル170や190(定員75?100人ほど)いった小型機で1日2往復ソウルと結ばれているのでは、ソウルから先の乗継ぎのチャンスが増えるから、明らかに後者の方が便利だろう。航空自由化が進む方向にある今は、こういった戦略を練る頃合いになっていると思われる。どうせキャパシティーなんて有り余るくらいあるわけだし。たまに地方空港が抱えている「おらが街からもアメリカへ直行便を」みたいな夢は捨てた方がいい。アメリカのどこか1カ所に直結しているくらいなら、小型機でいいからソウルや北京や香港と1日2?4便くらいで結ばれて、乗継ぎによって世界中と結ばれていた方がいい(むろん羽田が便利になれば、鉄道や飛行機で羽田にも直接つながっていればなおいい、ということになる)。

日本の交通施策は、現時点では基本的に「交通手段毎」である。しかし、距離帯によって最適な交通モードは異なるから、距離帯に応じた交通施策を採っていくべきであるといえる。旅客系であれば、都市内は徒歩、自転車、公共交通を優先、短中距離は鉄道を優先(田舎は車でも仕方ないだろう)、長距離は航空を優先、というような、距離帯に応じた政策が必要だろう。逆に、同じ距離帯では、各種の交通機関を統合して政策調整をするようにした方がいいだろう。上に書いた空港の施策は、その考え方に立ったときに生まれてくるものの一つだ。